法定相続人なのか?被相続人に権利を主張できた人なのか?
遺言で法定相続人以外に財産を遺贈している場合、法定相続人以外と死因贈与契約を締結している場合などを除いて、原則、遺産を取得することができるのは法定相続人だけです。
そのため、法定相続人以外の人が相続を原因として被相続人の遺産を取得することはできません。
例えば、遠縁になっていた相続人ではない親族が「昔、○○(被相続人)が困っているときに面倒を見てやった。自分も遺産の一部を受け取る権利がある!」と主張してきた場合であっても「過去に面倒を見た」という事実だけをもって、遺産を取得できる権利が法律上当然に生じることはありません。
一方で、被相続人に対して生前お金を貸していた人は、法定相続人であるかどうかにかかわらず、被相続人の債務(お金を返す債務)を相続した相続人に、債務の履行(返済)を求めることができます。
この場合、法定相続人全員に返済義務が生じますが、その負担割合は、法定相続割合に応じます。
例えば、被相続人の借金が1,000万円あるケースにおいて、相続人が配偶者と2名の子である場合は、配偶者が500万円分、2名の子が各自250万円分の返済義務があります。
なお、返済方法や返済時期については、もともと被相続人が締結していた借金の契約(借主としての地位)をそのまま引き継ぐことになりますので、相続が発生したことに起因して、借金の残金を一括返済する義務が生じることや、返済期限が前倒しされるなど契約内容が一方的に変更されることはありません。
遺産を取得できる人、できない人
遺産を取得できる人
①法定相続人
②遺言で財産を贈与された人(法定相続人以外も可能)
③被相続人と生前に死因贈与契約を締結していた人
※相続人に該当する人がいない場合、被相続人の療養看護をした人など一定の関係性がある人は、家庭裁判所に「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)に対する相続財産分与の申し立て」をすることで、一定の遺産を取得することを認めてもらえることがある
遺産を取得できない人(遺贈・死因贈与がない場合)
法定相続人以外の人
例①被相続人を生前にお世話した人(懇意にしていた親戚など)
例②生前に被相続人を献身的に介護した長男の妻