連帯保証人の地位は、相続人に法定相続割合で相続される
被相続人が、生前に借金の連帯保証人になっていた場合、相続人は、法定相続割合に応じて「連帯保証人の地位」を相続することになります(連帯保証人の保証債務を引き継ぐ)。
例えば、被相続人が、生前に1,000万円の借金の連帯保証人になっていたケースにおいて、相続人が配偶者と2名の子である場合、配偶者は500万円分、2名の子は各自250万円分の連帯保証債務を相続することになります。
そして、連帯保証人の地位を相続した相続人は、将来、主債務者(お金を借りた本人)が返済できなくなった場合、連帯保証債務を履行するため、法定相続割合に応じて借金を返済しなければなりません。
このようなケースもあるため、被相続人のプラスの遺産がマイナスの遺産より多い場合であっても、被相続人が多額の借金の連帯保証人になっている場合などは、そのまま相続してもよいか慎重に検討する必要があります。
特に、すでに主債務者の返済が滞っている場合や返済能力に問題がある場合などは、相続放棄の申述手続きを選択した方がよいケースもあります。
なお、被相続人が会社の代表者で、かつ、その会社が金融機関などから事業借入をしている場合は、代表者個人が会社の債務の連帯保証人になっているケースが多いため注意が必要です。
遺産を一切取得していなくても…
被相続人の妻が預貯金を全額、長男は自宅と自社株をすべて、長女は遺産を一切取得しない内容の遺産分割協議が成立したケース
注意!
☑プラスの遺産の取得割合にかかわらず、連帯保証人の地位(連帯保証債務を履行する義務)は法定相続割合で承継されてしまう。
☑上記のケースでは、長女は遺産を1円も取得していないにもかかわらず、法律上は5,000万円の連来保証人の地位を相続することになる