相続することを拒否する方法
被相続人のマイナスの遺産(借金や未払金など)が、プラスの遺産(預貯金や不動産など)の金額を大幅に上回る場合や、親族関係が悪いため遺産分割協議に関わりたくない(遺産も一切要らない)場合は、法定相続人は、家庭裁判所で「相続放棄の申述手続き」をすることができます。
この手続きを行った相続人には、“初めから相続人とならなかったものとみなす”という法律上の効果が生じるため、被相続人の借金や未払いの税金などを支払う必要がなくなり、また、相続人としての法的地位も失うため、遺産分割協議に参加する必要もなくなります。
なお、第1順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続権(相続人の地位)は、第2順位の法定相続人に移り、さらに第2順位の法定相続人の全員が相続放棄をすると、第3順位の法定相続人に移っていきます。
ここで注意すべきことは、相続放棄の申述手続きを行った事実は、家庭裁判所から次順位の相続人に通知されない点です。
そのため、相続放棄により次順位の法定相続人に相続権が移る場合は、次順位の相続人に対して相続放棄をした事実や被相続人の財産状況などを連絡し、親族間でトラブルが生じないよう配慮した方がよいでしょう。
具体的には、自身が相続放棄をしたこと、相続放棄をした理由(遺産・負債の情報)などを電話や書面などで次順位の相続人に伝えるなどの対応が考えられます。
相続放棄とは
相続放棄の効果
▶法律上、はじめから相続人とならなかったものとみなされる
▶被相続人の借金や未払いの税金などを支払う必要がなくなる
▶プラスの財産も一切相続できなくなる