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遺言の内容は絶対に守らなくてはいけないの?

遺言の内容と異なる遺産分割協議の可否

被相続人の遺した「遺言」の内容が、相続人の意向と異なるため、遺言の内容と異なる遺産分割をしたいというケースは少なくありません。
例えば「遺言のとおりに遺産を承継すると税法上の特例が使えないので、遺産の取得者や取得する財産を変更したい」といったケースです。
結論として遺言と異なる遺産分割協議を行うことは法律上可能です。ただし、以下の条件すべて満たす必要があります。

①被相続人が、遺言で遺産分割協議を禁止していないこと
②相続人全員が遺言の存在と内容を知った上で、遺言と異なる遺産分割協議をしていること
③相続人以外の受遺者がいる場合、受遺者が同意をしていること
④遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者の同意があること

なお、特定の相続人に特定の財産を相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言という)の場合、相続登記に関しては、登記実務上、一旦遺言の内容で登記を行い、その後、遺産分割協議の内容で登記をするべきとされています。
この点については、遺産分割協議の内容で直接登記が可能とする見解もあるため、実際に手続きをする場合は、司法書士に相談することを推奨します。

また、法定相続人以外の人に遺産が遺贈されている場合に、遺言と異なる遺産分割協議を行うと、相続税以外に所得税・贈与税などが課せられる可能性がありますので、事前に税理士に相談するのがよいでしょう。

遺言と異なる遺産分割

以下の4つの条件をすべて満たす場合のみ、遺言の内容と異なる遺産分割協議が可能!

①被相続人が、遺言で遺産分割協議を禁止していない。
②相続人全員が遺言の存在と内容を知った上で、遺言と異なる遺産分割協議をしている。
③相続人以外の受遺者がいる場合、受遺者が同意をしている。
④遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者が同意をしている。

(遺産の分割の協議又は審判等)
民法 第907条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
➡ 法律上、被相続人が遺言で禁止している場合は、遺言の内容と異なる遺産分割協議はできない!

注意!
遺言の内容と異なる遺産分割をする場合は、不動産の相続登記をするにあたって、以下の見解に注意する必要がある

特定の不動産を「長男A及び二男Bに各2分の1の持分により相続させる。」旨の遺言書とともに、A持分3分の1、B持分3分の2とするA及びB作成に係る遺産分割協議書を添付して、A持分3分の1、B持分3分の2とする相続登記の申請はすることができない。(『登記研究』546号152頁・質疑応答)

司法書士中下総合法務事務所は、東京都新宿区の「相続に専門特化した司法書士事務所」です。
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