遺言に納得できない場合の対応方法
相続開始後、被相続人が「遺言書」を書いていたことが判明して、中身を確認したところ、相続人として納得できない内容が書かれている場合があります。
基本的に、遺言は本人の意思に基づいて書かれているものとして取り扱いますが「遺言の作成時点で認知症が著しく進行していて、遺言を書けるほどの判断能力はなかったはずだ」といった特段の事情がある場合は、以下の対応を検討します。
①遺言書に方式の不備がないか確認する
遺言が「公正証書遺言」で作成されている場合は、法的要件を欠いている可能性は低いですが、自筆証書遺言を専門家の関与なく作成している場合は、法的要件を満たしていない可能性があります。
法律上、自筆証書遺言については、全文(財産目録を除く)、日付及び氏名を自署して押印をする必要があり、これらの要件を1つでも満たしていなければ、その遺言は無効になります。
②遺言無効確認請求訴訟を提起する
遺言の作成時に認知症が著しく進行していて遺言の作成能力がなかったなど、遺言が無効になる可能性がある場合は、裁判所に「遺言無効確認請求訴訟」を提起します。
この訴訟の結果、遺言の無効が認められた場合は、遺産分割協議を別途行う必要があるため、遺産分割調停・審判の手続きをすることになります
なお、遺言の無効確認請求訴訟は、裁判に関する専門知識が必要となるため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
遺言書が無効になる可能性があるケース
一般的な遺言無効主張の手続き
①内容証明郵便
遺言の無効を理由に、遺言執行を停止するよう通知する
※遺留分侵害額請求権の時効が1年のため、予備的に「遺留分侵害額請求」を行うケースもある
▼
②提訴予告通知
証拠を添付した「提訴予告通知書」を相手に送付して反応を見る
▼
③遺言無効確認請求訴訟の提訴
調停での合意の成立が見込める場合は、調停の申立てを行い、調停での合意の成立が見込めない場合には提訴する
▼
④遺産分割協議(裁判で勝訴した場合)
遺言無効の判決確定後は、遺言が存在しなかったものとなるため、遺産分割協議をする