信託契約の中で、信託の終了事由として「委託者の死亡」を定めていた場合、委託者の死亡によって家族信託は終了となり、信託財産は、信託契約の内容に従って処理されます。
具体的には、信託契約の中で「残余財産の帰属権利者」(以下、「帰属権利者」という)が定められている場合は、清算受託者(※)が、帰属権利者に残余の信託財産を引き渡すことになります。
帰属権利者の定めがない場合や帰属権利者が権利を放棄した場合は、委託者の相続人に帰属します(相続人が全員亡くなっている場合などは、清算受託者に帰属します)。
(※) 家族信託が終了した場合に、以下の業務を行う受託者のことです。
一般的に、信託終了時点での受託者が清算受託者になるケースが多いです。
① 現務の結了
② 信託財産に属する債権の取立て及び信託債権に係る債務の弁済
③ 受益債権(残余財産の給付を内容とするものを除く。)に係る債務の弁済
④ 残余財産の給付
参照条文
(残余財産の帰属)
信託法第182 条 残余財産は、次に掲げる者に帰属する。
一 信託行為において残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者(次項において「残余財産受益者」という。)となるべき者として指定された者
二 信託行為において残余財産の帰属すべき者(以下この節において「帰属権利者」という。)となるべき者として指定された者
2 信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下この項において「残余財産受益者等」と総称する。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合には、信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなす。
3 前2項の規定により残余財産の帰属が定まらないときは、残余財産は、清算受託者に帰属する。