不動産については、通常、以下の3つの方法で調査を行い、特定した不動産の登記事項証明書の取得または登記情報提供サービス(※)を利用して権利関係等を確認します。
(※) 一般財団法人民事法務協会が提供している、登記所(法務局)が保有する登記情報をインターネットを使用してパソコンの画面上で確認できる有料サービスです。
詳細は、運営サイトをご確認ください。
① 被相続人宛に届いている「固定資産税納税通知書」を確認する。
被相続人が不動産を所有していた場合、当該不動産の所在する市区町村から「固定資産税納税通知書」(以下、「納税通知書」という)が送付されるため、相続財産となる不動産を特定することができます。
ただし、以下の点には注意が必要です。
・納税通知書は、その年の1月1日現在の所有者に対して送付されるため、亡くなった年の途中で取得した不動産の納税通知書は、翌年まで送付されません。
・不動産が共有名義の場合には、納税通知書は、原則、共有者全員ではなく代表者に対してのみ送付されるため、他の共有者には送付されません。
・同一市町村内において、被相続人が所有していた不動産などにかかる固定資産税の課税標準額の合計が、以下の金額に満たない場合は、原則、納税通知書は送付されません(固定資産税が課せられないため)。
土地:30万円
家屋:20万円
参照条文
固定資産税の免税点
地方税法第351条 市町村は、同一の者について当該市町村の区域内におけるその者の所有に係る土地、家屋又は償却資産に対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が土地にあつては30万円、家屋にあつては20万円、償却資産にあつては150万円に満たない場合においては、固定資産税を課することができない。
ただし、財政上その他特別の必要がある場合においては、当該市町村の条例の定めるところによつて、その額がそれぞれ30万円、20万円又は150万円に満たないときであつても、固定資産税を課することができる。
② 不動産の所在地を管轄する市区町村役場(東京23 区の場合は都税事務所)に対して、被相続人名義の名寄帳(なよせちょう)(固定資産課税台帳)を取得して確認する。
名寄帳(固定資産課税台帳)には、同一市区町村内に被相続人が所有していた不動産の一覧が記載されるため、相続人が認識していなかった不動産が判明することもあります。
ただし、一部の市区町村においては、非課税の不動産(公衆用道路など)が記載されないこともあるため、請求にあたっては、事前に市区町村に証明対象となる不動産について確認をした方が良いでしょう。
③ 不動産を取得した際の権利証(登記済証)や登記識別情報通知を確認する。
被相続人が不動産を取得した際の権利証(登記済証)や登記識別情報通知(以下、「権利証等」という)は、相続開始後においては、不動産の売買や抵当権の設定などには利用はできませんが、財産調査の重要な資料になります。
なぜなら、権利証等には、被相続人が取得した不動産(登記されているものに限る)が、非課税の土地なども含めてすべて記載されているからです。
名寄帳に記載されていない不動産が、権利証等から判明したケースもありますので、相続人から提供をしてもらえる場合は、確認をした方が良いでしょう。