被相続人に相続人がいない場合や、法定相続人全員が相続放棄をしたため相続人が不在となった場合、相続財産は「法人化」されます。
相続財産が法人化されると、被相続人の債権者などの利害関係人は、家庭裁判所に対して「相続財産管理人の選任申立」をすることができ、選任された相続財産管理人に対して債務の履行を請求することになります。
なお、相続財産管理人の選任までに要する期間は、家庭裁判所の状況によって異なりますが、通常、申立から1か月程度かかります。
参照条文
(相続財産法人の成立)
民法 第951条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
(相続財産の管理人の選任)
民法 第952 条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
【申立について】
○申立人
・利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)
・検察官
○申立先
・被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
○費用
・収入印紙800円分
・郵便切手(家庭裁判所により金額が異なるため管轄裁判所に要確認)
・官報公告料4,230円(家庭裁判所の指示を受けてから納付)
(※)相続財産の内容から、相続財産管理人が相続財産を管理するために必要な費用(相続財産管理人に対する報酬を含む)に不足が出る可能性がある場合は、相続財産管理人が円滑に事務を行うことができるよう、申立人が相当額を予納金として納付することがあります。
当該予納金の金額は、ケースによっては100万円程度になることもあるため、留意する必要があります。
○申立時の必要書類
① 申立書【資料】※資料番号を削ってください
② 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
③ 被相続人の父母の出生から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
④ 被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
⑤ 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
⑥ 被相続人の兄弟姉妹で死亡している者がいる場合、その兄弟姉妹の出生から死亡時までのすべての戸籍( 除籍・改製原戸籍)謄本
⑦ 代襲者としての甥・姪で死亡している者がいる場合,その甥または姪の死亡の記載がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
⑧ 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
⑨ 財産を証する資料(不動産登記事項証明書、通帳の写し、残高証明書など)
⑩ 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(金銭消費貸借契約書の写し等)
⑪ 財産管理人の候補者がいる場合にはその者の住民票(または戸籍の附票)
(※)同じ書類は1通で足ります。
(※)審理のために必要な場合は、追加書類の提出を指示されることがあります。