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遺言の内容と異なる遺産分割協議は可能ですか?

遺言の内容によっては可能です。

ただし、以下の①~④の条件を満たしている必要があります(後述の「相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)の場合の注意点」もご確認ください)。

① 被相続人が、遺言で遺産分割協議を禁止していないこと。

② 相続人全員が遺言の存在と内容を知った上で、遺言と異なる遺産分割協議をしていること。

③ 相続人以外の受遺者がいる場合は、当該受遺者が同意をしていること。

④ 遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の同意があること。

参照条文

(遺産の分割の協議又は審判等)

民法第907条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。

【相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)の場合の注意点】

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」と書かれた遺言、いわゆる「相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)」の場合、判例(最判平成3年4月19日)との関係から、遺言と異なる遺産分割協議の可否について注意が必要です。

上記判例では、相続させる旨の遺言については、特段の事情のない限り、相続開始と同時に、何らの行為を要せずして、直ちに遺産が当該相続人に相続承継されるため、遺産分割協議の余地がない(遺言の利益を放棄できない、つまり遺産の帰属を拒否することができない)と判示しています。

この見解に立っているものとして、不動産登記については、『登記研究』546 号の質疑応答において、「特定の不動産について相続させる旨の遺言がある場合は、遺言と異なる遺産分割協議を行い、遺言に記載されている相続人と別の相続人に取得させることはできない。」との回答がなされています。

この場合、一旦、遺言の内容に基づいた相続登記を行い、その後、贈与や交換などで所有権を他の相続人に移転する登記を行う必要があるため、登録免許税もそれぞれの登記についてかかります。

しかし、一方で、相続人全員が同意しているのであれば、遺言と異なる遺産分割協議も許されるとする説もあり、不動産登記においても、「被相続人と各共同相続人全員の立場はイコールであり、被相続人の意思は共同相続人全員の意思によって否定、変更できる」という考えのもと、相続登記が未了の状態であり、共同相続人全員の同意があれば、相続させる旨の遺言と異なる遺産分割協議及び相続登記が可能と解している文献もあります(『登記官から見た相続登記のポイント』144 頁(青木登・元東京法務局豊島出張所総務登記官)。

現時点では、相続させる旨の遺言と異なる遺産分割協議については、実務上、確定した取扱いがなされているとは言えないため、実際に手続きを行う際は、司法書士に相談をした方が良いでしょう。

(最判平成3年4月19日)

「遺言書において特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言者の意思が表明されている場合、当該相続人も当該遺産を他の 共同相続人と共にではあるが当然相続する地位にあることにかんがみれば、遺言者の意思は、右の各般の事情を配慮して、当該遺産を当該相続人をして、他の共同相続人と共にではなくして、単独で相続させようとする趣旨のものと解するのが当然の合理的な意思解釈というべきであり、遺言書の記載から、その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情がない限り、遺贈と解すべきではない。そして、右の「相続させる」趣旨の遺言、すなわち、特定の遺産を特定の相続人に単独で相続により承継させようとする遺言は、前記の各般の事情を配慮しての被相続人の意思として当然あり得る合理的な遺産の分割の方法を定めるものであって、民法九〇八条において被相続人が遺言で遺産の分割の方法を定めることができるとしているのも、遺産の分割の方法として、このような特定の遺産を特定の相続人に単独で相続により承継させることをも遺言で定めることを可能にするために外ならない。したがって、右の「相続させる」趣旨の遺言は、正に同条にいう遺産の分割の方法を定めた遺言であり、他の共同相続人も右の遺言に拘束され、これと異なる遺産分割の協議、さらには審判もなし得ないのであるから、このような遺言にあっては、遺言者の意思に合致するものとして、遺産の一部である当該遺産を当該相続人に帰属させる遺産の一部の分割がなされたのと同様の遺産の承継関係を生ぜしめるものであり、当該遺言において相続による承継を当該相続人の受諾の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡の時(遺言の効力の生じた時)に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継されるものと解すべきである。そしてその場合、遺産分割の協議又は審判においては、当該遺産の承継を参酌して残余の遺産の分割がされることはいうまでもないとしても、当該遺産については、右の協議又は審判を経る余地はないものというべきである。」

(『登記研究』546 号152 頁・質疑応答)

特定の不動産を「長男A 及び二男B に各2分の1 の持分により相続させる。」旨の遺言書とともに、A 持分3分の1、B 持分3分の2 とするA 及びB 作成に係る遺産分割協議書を添付して、A 持分3分の1、B 持分3分の2 とする相続登記の申請はすることができない。

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