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相続した不動産を売却して現金化した場合、どんな税金がかかるの?

相続した不動産を売却して、その売却代金を相続人で分けるケースも少なくありませんが、その際の税金の取扱いはどうなるのでしょうか?

今回は、相続した不動産を売却して売却代金を相続人で分ける、いわゆる「換価分割」の際の税金(譲渡所得税)について説明します。

事例

相続した不動産について、相続人全員による遺産分割協議の結果、換価分割をすることになったため、対象の不動産について、共同相続人のうちの一人の名義に相続登記(相続財産の管理行為)をした後、第三者に売却(譲渡)した。

よくある質問

①本事例の場合、不動産を売却した際の譲渡所得は、相続登記によって登記名義人となった相続人に対して全額課税されることになるのか?

②本事例の場合、売却の前提とは言え、特定の相続人に対して相続登記をしたことで、贈与税の課税問題が生じることにならないのか?

質問への回答

①への回答
換価分割のために遺産を売却(譲渡)した場合で、あらかじめ換価代金の各相続人への分配割合が確定している場合は、その譲渡による譲渡所得は、売却代金の分配を受ける各相続人が分配割合に応じて収入を得たものとして計算します。

②への回答
換価分割のために、遺産である不動産の登記名義を共同相続人の一人に変更としたとしても、換価分割のための名義変更である限り、贈与税の課税関係は生じません。
ただし、換価分割のための名義変更であることが、遺産分割協議書などで客観的・事後的に説明ができるよう文言等を調整をする必要があります。
遺産分割協議書の文言や、換価分割による税金等の取扱いは、少しの不備が原因で想定していない事態を生じさせてしまうこともあるので、司法書士や税理士などの専門家に相談されることをオススメします。

譲渡所得税の具体的な算出

こちらは少々専門的なお話になってしまいますが、譲渡所得税の計算は、以下の算式で行います。

★ 譲渡所得税=(譲渡収入-取得費-譲渡費用)×税率
※取得費の算出において建物は減価償却します。

◆ 譲渡収入に含めるもの:売買代金・固定資産税の清算金
◆ 取得費:当時の購入代金(不明な場合は譲渡収入額の5%(概算取得費))
◆ 譲渡費用:仲介手数料・印紙代・測量費用等
◆ 税率:
不動産の保有期間が5年超の場合・・・20.315%(復興所得税・住民税を含む)
不動産の保有期間が5年以下の場合・・・39.63%(復興所得税・住民税を含む)

相続した不動産の売却は、法務・税務の面で注意すべきこともあり、インターネットや書籍の情報のみで対応することは、リスクが高いと言えます。

正直なところ、相続不動産の売却手続きは、専門知識を求められるシーンも多いため、最初から専門家のサポートを受けたほうが法務・税務のリスクを抑え、スピーディーかつ効率的に進められると思います。

現金化をお急ぎの場合も、焦らずに一度相談をしてみることをおススメめします。

当窓口では、相続登記はもちろん、その後の不動産の売却についても専門知識とノウハウに基づいて、しっかりサポート致します。

また、必要に応じて不動産会社のご紹介や、相続業務に特化した税理士による税金相談も対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

当記事は、記事執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。

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