遺産のすべてを受け取る方法
相続人のうちの1名が遺産をすべて相続できるケースとしては、
①被相続人が特定の相続人に全財産を相続させる旨の遺言を遺している場合、②遺産分割協議で特定の相続人がすべての遺産を取得することについて合意が成立した場合が挙げられます。
ただし、①の遺言の場合は、法律上、一次的にすべての遺産を取得できますが、遺留分を有する他の共同相続人(遺留分権利者)がいる場合は、遺留分侵害額請求の問題が残ります。
そのため、後日、他の共同相続人(遺留分権利者)から遺留分侵害額請求をされた場合は、遺留分侵害額相当の金銭を支払う必要があり、すべての遺産を取得できないことになってしまいます
一方で、②の遺産分割協議の場合は、相続人全員の協議により遺産の分割方法に関する合意が成立しているため、後日、遺留分侵害額請求をされることは通常ありません。
例えば、夫と妻、子2名という家族構成で夫に相続が発生したケースにおいて、遺産分割協議で「すべての遺産は妻が取得する」という合意が成立すれば、妻はすべての遺産を1人で取得することができます。
なお、上記①②のいずれの場合でも、原則、債務(借金など)は、相続人全員に法定相続割合で承継されるため、注意が必要です。
遺産のすべてを受け取る2つの方法
(1)被相続人が特定の相続人に全財産を相続させる遺言を遺している場合
注意!
法律上、一時的にすべての遺産を取得できるが、遺留分を有する他の共同相続人(遺留分権利者)がいる場合は、後日、遺留分侵害額請求をされる可能性がある。
(2)遺産分割協議で特定の相続人がすべての遺産を取得することについて合意が成立した場合