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相続放棄について確認すべき3つの注意点

相続放棄について確認すべき3つの注意点

当窓口には、相続放棄について、以下のようなお問い合わせを多くいただきます。

「相続放棄をしたいのですが、やり方がわかりません。教えてください。」

「相続放棄には費用がどれくらい掛かりますか?」

「相続放棄はいつまでにすれば良いですか?」

「相続放棄をすれば親の借金は払わなくてよいですか?」

「相続放棄」をしない場合、亡くなられた方の相続人は、亡くなられた方のプラスの財産(預貯金・不動産など)とマイナスの財産(借金・保証債務など)をすべて承継することになります。

つまり、すべての権利と義務を承継することになります。

なお、配偶者とお子様がいない方が亡くなられた場合で、その方のご両親・祖父母が亡くなられている場合は、兄弟姉妹が相続人になります。

疎遠なご兄弟がいる方は、場合によっては、ある日突然 相続人になってしまい、亡くなられた方の財産状況によっては、借金を支払う義務を承継してしまうこともあります。

ですから、第三者から親族の相続放棄に関して連絡が来た場合は、いち早く専門家にご相談されることをおススメします。

さて、実は、意外と知られていないのですが、相続をすると借金はもちろん、亡くなられた方が借金の「連帯保証人」になっている場合は、その保証人としての地位も引継ぐことになります。

ですから、一見、預貯金がたくさんある方であっても、多額の借金の連帯保証人になっている場合もあるので、相続を承認するか放棄するかについては、慎重に判断をする必要があります。

相続放棄をすると、プラスの財産を取得することもできませんが、マイナスの財産を承継することもありません。

そして、この相続放棄は、家庭裁判所に適切な手続き(相続放棄の申述)をしない限り、認められません。

ちなみに、相続放棄をせず、そのまま相続することを承認する場合は、家庭裁判所での手続きなどは必要なく、自動的に相続をすることになります。

では、今回は、この相続放棄について、法的効果や手続きをするにあたって確認すべきポイントを3つに絞ってご説明します。

相続放棄について確認すべき「3つ」の注意点

1.相続放棄の効果について十分理解をする

当窓口のご相談者にも、たまに誤解をされている方がいらっしゃるのですが、「遺産の放棄」と「相続放棄」は異なります。

先日、お父様が亡くなられた方から「故人の不動産は、長男〇〇が全部取得し、私(長女)は相続を放棄しますので、その手続きをお願いします」というご相談がありました。

ご相談者様は、相続放棄をしたいというご希望を主張されておりましたが、ご相談内容を丁寧にお聞きすると、相続放棄の手続ではなく、長男の方が不動産を取得する内容の「遺産分割協議書」を作成することで、十分にご希望を実現できることが分かりました。

もし、相続放棄をしてしまうと、長女の方は法律上、初めから相続人ではなかったことになり、不動産はもちろん、すべての財産について相続する権利を失い、またお父様との相続関係もなくなってしまいます。

相続放棄というのは、「はじめから亡くなられた方の相続人ではない」という効力が生じてしまいますので、相続放棄をすべきかどうかについては、慎重に判断をしていただくと同時に、少しでも不明な点があれば、専門家に相談することをおススメします。

なお、相続放棄の手続きにかかる時間ですが、当窓口にご依頼をいただいた場合、財産調査の期間などよって多少異なりますが、一般的には1カ月以内に裁判所へ申述できるケースがほとんどです。

裁判所に申述書を提出した後は、大体1カ月以内に「相続放棄申述受理通知書」が交付されて、手続きは完了となります。

※ご事情により「相続放棄申述受理証明書」の取得までご希望される場合は、当該証明書の取得までサポート致します。

2.申述期限の「3か月以内」を遵守する

相続放棄の手続き(申述)には「期限」があります。

なぜなら、いつまでたっても相続を承認するかどうかを決めないことを容認してしまうと、権利関係が不安定な状況が続き、また、借金の債権者などの権利を害する恐れがあるからです。

ですから、相続放棄は、一定の期間(相続発生から3か月以内)に手続き(申述)をしなければなりません。

つまり、相続が発生をしたら3か月以内に、相続をする(相続の承認)か相続をしない(相続放棄)かの判断を必ず行う必要があるのです。

(厳密には、限定承認という手続きもありますが、当該手続きについては、別の記事でご紹介します。)

なお、法律上、相続放棄は相続の開始を知った時から3か月以内にしなければならない」となっています。

民法第915条第1項
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。

ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

つまり、事情によっては(海外にいて亡くなったことを知らなかった)、3か月を超えてしまった場合でも、相続放棄が認められる場合もあります。

当窓口でも「数年前」に亡くなられた方の相続放棄手続きのご依頼があった際に、裁判所に対して相続放棄手続きができなかった【特殊な事情】を説明することで、無事に申述が受理された経験があります。

3か月を経過した場合の相続放棄の手続きについても、経過期間だけで判断をせずに、一度専門家に相談をしてみることをオススメします。

ちなみに、相続放棄は、相続放棄の対象となる方がご存命の間は、手続きをすることができません。

例えば、多額の借金を抱えている親がいる場合で、明らかに将来的に子供が相続放棄をすることが予想される場合であっても、相続放棄手続きは、相続発生後にのみできます。

ですから、相続人になる可能性がある方は、相続の発生までに債務の承継や保証等が生じないよう、契約書に印鑑などを求められた場合は、よく内容を確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けましょう。

3.亡くなられた方の財産の処分行為(私的な利用)を行わない

相続を放棄するか承認をするか判断をしている期間中、絶対に注意をしなければいけないことがあります。

それは、亡くなられた方の財産に手を付けないことです。

これはなぜかと言うと、亡くなられた方の財産を使用したりすることは、法律上、相続を承認したとみなされてしまうからです。

民法第921条 第1項
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

1  相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。ただし、保存行為および及び短期賃貸借(民法602条)をすることは、この限りでない。

また、亡くなられた方の借金や債務などについて、債権者などに承認を求められた際も、安易に承認をしてしまうと、相続を承認したと主張されてしまうことがありますので、「現在、相続放棄をするかどうか検討中なので対応ができません」としっかりと伝えることが大切です。場合によっては、専門家のサポートを受けることも検討してください。

以上のとおり、相続放棄は非常に重要な判断であり、また適切に手続きを行わなければ思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。

残念ながら、知らなかったでは許されないことも法律の世界では多いです。

ですから、きちんと調べて、ご自身の事情に合わせた手続きを選択することがとても大切です。

当窓口では、相続放棄の手続きについてはもちろん、相続放棄をすべきかについての相談や財産調査に関する相談についてもご対応が可能です。

おわりに

最後に、当窓口に依頼をする場合の費用ですが、特殊な相続放棄でない限り、費用は4万円~5万円程度(実費別)に収まることが多い印象です。

(当窓口の料金表はこちら
また、専門家にサポートを依頼する場合は、金額はもちろんですが、その費用で受けられるサービスもしっかり確認しておきましょう。

※サービスが細分化されていて、追加の費用が掛かるケースも少なくありません。

相続放棄についてのご不安は、「早めにご相談いただくこと。」
これが最初の一歩であり、大切な一歩です。

相続放棄や相続のことについてご相談されたい方は、いつでもお気軽にお問合せください。

誠心誠意ご対応させていただきます。

当記事は、記事執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。

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