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相続した不動産の調査のポイント!「登記事項証明書」・「公図」・「地積測量図」・「建物図面」について

不動産を相続した場合、財産調査や不動産の売却のために、法務局に対して不動産の証明書を請求することがあります。

今回は、法務局で取得ができる不動産の証明書について、ご紹介します。

不動産の証明書の種類

まずは、不動産の証明書の種類ですが、大きく分けて以下のものがあります。

①登記事項証明書(登記簿謄本)

いわゆる「謄本(とうほん)」と言われているものです。

土地の登記事項証明書については、所在地番・地目・地積・所有権(所有者)・所有者以外の権利(抵当権、賃借権等)が記載されており、建物については、所在地番・家屋番号・種類・構造・床面積・所有権(所有者)・所有者以外の権利(抵当権、賃借権等)が記載されています。

登記事項証明書を確認することで、その不動産がだれの名義になっているのか、担保に入っているのかが分かり、また不動産の取得時期や原因などについても確認することができます。

②公図(地図に準ずる図面)

公図は、土地の所在地番、土地の形状を表示している図面です。

実際の正確な形状を細部までは表現できていませんが、対象不動産の地形や隣接する土地の地番などが分かるため、私道の持分の調査などに役立ちます。

③地積測量図

地積測量図は、土地の所在地番・形状・各境界点間の距離・各土地の面積を表示した図面のことで、一般的に土地家屋調査士が土地所有者の代理人として作成をする測量図面です。

土地の正確な地積等については、地積測量図で確認をします。

ちなみに、不動産によっては地積測量図がない場合もあります。

これは、昭和35年の不動産登記法の改正により、はじめて土地の表題登記等の申請時に地積測量図の提出義務が規定されたことが原因です。

よって、昭和30年代前半に土地に関する登記がされていても、地積測量図が無い場合があります。

④建物図面

建物図面は、所在地番・家屋番号・建物の形状・建物の外周・床面積を表示した図面です。

こちらも、一般的に土地家屋調査士が所有者の代理人として作成をする建物測量図面です。

建物図面では、建物が敷地に対してどのような配置で建てられているかなどが記載されています。(隣地境界線から●メートルなど)

また、建物図面を見ることで、図面上の建物形状と実際の建物形状との違いを見比べることができるため、増築の有無の調査にも役立ちます。

証明書の取得できる法務局

現在、情報共有システムの構築により、基本的には全国どこの法務局でも不動産に関する証明書を取得することできます。

また、各証明書は、インターネット上の情報提供サービス【登記情報提供サービス】にて、誰でもクレジットカード決済で登記情報を閲覧することができます。

手数料についても、法務局で取得した場合、登記事項証明書は600円かかりますが、登記情報提供サービスでは335円で取得できます。

また、図面関係も法務局では450円かかりますが、登記情報提供サービスでは365円で取得できます。

一点注意したいことは、登記情報提供サービスはあくまで情報ということです。

登記事項の内容を法務局の“証明書”として利用する必要(法務局の証明印の必要)がある場合は、法務局で証明書を取得する方法を選びましょう。

なお、法務局で取得した登記簿謄本と、登記情報提供サービスで取得した登記情報に記載されている内容は同一です。

閉鎖事項証明書(全国の法務局・登記情報提供サービスで取得可能なもの)

ここまでは、一般的に法務局で取得する機会が多い不動産の証明書をご紹介しましたが、登記事項(登記簿謄本)が閉鎖された場合に、その閉鎖された内容を証明する「閉鎖事項証明書」を取得することもできます。

登記事項(登記簿謄本)を閉鎖する場合として、土地であれば合筆登記(2つの土地を登記上1つにまとめる)があります。

例えば、1番という土地と2番という土地を合筆登記した場合、2番の土地は1番の土地の登記事項の中に含まれてしまうことになり、2番の土地の登記事項は閉鎖されます。

また、建物であれば、建物を取り壊した場合、建物が無くなったことに伴い「滅失登記」を申請しますが、その場合も建物の登記事項は閉鎖されます。
 
上記のようなケースで、閉鎖された登記事項に関する証明書を発行したい場合は、「閉鎖事項証明書」を請求することになります。

なお、この閉鎖事項についても前述の登記情報提供サービスで全国の不動産を取得できます。

閉鎖事項証明書(全国の法務局・登記情報提供サービスで取得できないもの)

これまでの解説のとおり、現在はオンライン化による情報共有により、全国どこの法務局でも不動産の登記事項が取得できる環境になりましたが、一方で、不動産の所在地を管轄する法務局でしか取得できない証明書もあります。

それは、「古い登記事項証明書」です。(これも閉鎖事項証明書の一種です。)

不動産の登記に関する証明書は、昭和63年の法改正によりオンライン化されましたが、それ以前は紙を綴じこむ簿冊(ぼさつ)による保管がされていました。

そして、この時代に作成された簿冊は、現在、管轄法務局でしか保管されておりません。

ですから、オンライン化以前の登記事項の内容を確認したい場合は、以前の簿冊を見る必要があり、その閉鎖登記簿を保管している管轄法務局に請求することになります。

その他、管轄法務局でしか取得できないものとして、閉鎖した公図(地図に準ずる図面)があります。

公図は元々和紙で作成されていた図面であり、その後、マイラー公図(ビニール製のフィルムに書き写した公図)に変わり、現在はオンライン化された公図となっています。

この和紙やマイラーの閉鎖した公図(旧公図)は、管轄法務局でしか取得できません。

長年にわたり分筆や合筆登記が繰り返され土地の形状が変更されてきている場合に、以前はどのような土地の形状をしていたか確認をしたいときは、閉鎖公図を取得する必要があります。

いかがでしたでしょうか。

相続した不動産の調査は、適切に行わなかった場合、後々トラブルや過度な負担が生じることがあります。

大切な財産を上手に承継するためにも不動産をしっかり調査して、必要に応じて「相続登記」を行い、ご自身の財産と権利をきちんと守ることをおススメします。

当窓口では、相続した不動産の調査や名義変更はもちろん、遺産分割協議のサポートや相続した不動産の売却サポートなど幅広くサービスを提供しております。

「こんなこと聞いて良いのだろうか?」ということも、どうぞお気軽にご相談ください。

当記事は、記事執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。

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