相続と不動産鑑定士の関係を知っておこう!
相続と不動産鑑定士の関わりについてお話しする前に、一つ確認をしましょう。
目次
「そもそも 不動産鑑定士とはどんな仕事をしている職業なのでしょうか?」
教科書どおりの定義で説明すると、不動産鑑定士は「不動産の適正な経済価値を公平、客観的な第三者の目で判定する専門家」となります。
ただ、この説明ではなかなかピンとこない方が多いのではないでしょうか。
毎年、3月ごろに全国の地価の動向が新聞などで発表されるのを目にされたことがあるかと思います。
具体的には、「今年も日本の地価ナンバーワンは銀座四丁目」や「名古屋駅前の地価の上昇が著しい」といった内容のものです。
時価の動向は、全国の不動産鑑定士が、毎年の不動産の取引動向等を調査し、地価の上昇率や下落率を判断しており、「地価公示」という業務として請け負っています。
では、このような業務を行っている「不動産鑑定士」がなぜ相続の際に必要となるでしょうか?
日本では、持家信仰が依然として高く、最も大きな財産が「不動産」であるケースが多いといえます。
それと同時に、不動産は、相続との関係で問題となるケースが非常に多い財産です。
相続と関係して、不動産が問題となるのは、次の3つの時点です。
① 被相続人がご存命のうちに相続対策を考える時点
② 被相続人死亡による遺産分割の時点
③ 被相続税の申告の時点
特に、②のケースについてのご相談は非常に多いです。
一般的に、問題の焦点が「不動産の財産価値」に関係する場合、多くの方が税理士に相談をします。
税理士は、原則として「財産評価基本通達」という「財産の額を計算するときの一定のルール」に基づいて算定するのですが、不動産の場合、この算定額(以下、「財産評価額」といいます)が、いわゆる時価(通常の不動産の取引金額)と一致しないケースが大半なのです。
具体的なケースを例に 検証してみましょう
例えば、東京23区の高級住宅街にご自宅(土地・建物)を持っているお父様が亡くなり、相続が発生したケースで考えてみましょう。
この不動産について、税理士による財産評価基本通達で算定したところ、土地と建物の合計金額が5,000万円(土地5000万円、建物は古いので0円)だったとしましょう。
しかし、実際にこの不動産を売却すると8,000万円で買手がつくことが予想される場合、この8,000万円が「時価」になります。
上記のケースで、相続人がお子様二人だけ、相続割合が2分の1ずつだとしましょう。(他の財産は考慮しないものとして考えてください。)
ご本人たちの間で「長男がこの家を相続し、次男はその価値の半分の金銭を長男から受け取る」という形の遺産分割協議が成立したとします。
この場合、財産評価額で算定すれば、次男は長男から2,500万円しか受け取れないことになってしまいます。
本来は8,000万円の価値がある家で、次男は4,000万円を受け取れるはずなのに・・・です。
このままでは次男にとって、不公平な結果になってしまいます。
しかし、お互いの利害に関わることですから、二人の話合いで適切な不動産の評価をすることは難しいでしょう。
こういった場合の「適切な時価の判断」を行うために不動産鑑定士が登場します。
不動産鑑定士は、第三者の立場で公平に評価し、「不動産鑑定評価書」という公的な証明力の高い書類を作成し、適切な時価を決めるサポートをします。
まとめ
時価が高いエリアの不動産などについては、相続後の遺産分割の際に、「財産評価基本通達」だけを根拠に評価すると、トラブルにつながってしまうこともあります。
そんな時には、不動産鑑定士を利用するのも一つの手と言えます。
※相続税の計算は、時価は関係なく「財産評価基本通達」をもとに行います。
遺産分割は、相続人同士の話合いで うまくまとまるのが一番ですが、ケースによっては、上手に専門家を活用することで、円満な相続が実現できることもあります。
当窓口では、相続業務に特化したパートナー不動産鑑定士も在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。
相続対策のシミュレーションを行うために、現時点での不動産の時価を簡易的に評価するサービスもご用意しております!
私たちのサービスが、お役に立ちますように。
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