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親族後見人の住所・同意書 について(成年後見に関するお問い合わせと回答事例)

ご相談の概要

※ 匿名性の確保のため一部内容を変更しております。

後見人のことでご質問させていただきます。

現在、85歳の叔母(私の父の姉)が特別養護老人ホームに入所しています。

認知症の症状があり、要介護レベルは3です。

今までに結婚歴もなく子供もいないので、特養の身元引受け人には、私の父と私がなっています。

父も高齢なのため、叔母の後見人に私が就任してほしいと言われていますが、現住所が、

私: 神奈川県横浜市
叔母:千葉県船橋市

と離れていますが、問題ないでしょうか?

また、叔母の兄弟姉妹は、父以外に4人います。

そのうち2人は、病気などで字が書けない状況です。

代理人への委任状などのほかに手続きにはなにが必要になるのでしょうか?

ご教授のほどよろしくお願いいたします。

当窓口からの回答

お問い合わせ頂きました件につきまして、回答させていただきます。

まず最初に、申立の際に必要な書類は当サイトのこちらの記事を参考にしてください。
⇒ 法定後見の申立て手続きの方法とポイント

ご親族の中に筆記が難しい方がおられるとのことですが、その場合に、これらの必要書類のうち、少し問題となるのが「同意書」だと思います。

同意書とは、今回の場合、「叔母様に関し、成年後見制度を利用すること」および「●●様が後見人になること」への同意となり、原則として、親族(今回でいうとご兄弟)全員の同意書が必要となります。

ただし、全員からの同意書がなければ申立てができないわけではなく、同意書がある方が、手続きが比較的スピーディーに進み、親族(●●様)が後見人に選任されやすくなるようです。

親族の同意書がない場合は、同意書を書いていない親族は、この手続きを進めることや、●●様が後見人に選任されることに反対しているのではないか、と裁判所は考えているようです。

したがいまして、親族の中に認知症等の病気や行方不明等の理由で同意書が作れない場合は、その事情を説明書等で裁判所に説明し、反対しているわけではないことがわかってもらえれば、同意書を提出したと同様の取り扱いで、手続きは進めることができると思われます。

また、叔母様と●●様の居住地が離れているとのことですが、後見人は、財産管理の他に、定期的に叔母様の様子を確認したり、何かあったときに手続きを代理することが必要です。

とはいえ、後見人が叔母様のすぐ近くに住んでいないといけない等の決まりがあるわけではありません。

●●様の場合、離れているとはいえ「後見業務を行うのが不可能な距離」というわけではないと思います。

したがいまして、申立後に行われる裁判所との面談の際に、このことについて、●●様自身のお考えや実際に対応できるのかについて、後見業務を行うことが問題ないことをしっかり説明できれば良いと思います。

その上で、裁判所がその他の事情(財産額等)も考慮した上で、●●様が後見人として適当かどうかを判断することになります。

その結果、●●様が後見人に選ばれる場合もあれば、裁判所の裁量で●●様以外の第3者が選任される可能性もありますし、選任されたとしても監督人がついてしまう場合もあり得ますので、その点はご注意いただければと思います。

以上が、ご質問の回答となります。

●●様の疑問は解消されましたでしょうか。

より具体的にご相談をされたい場合は、ご来所いただき、直接ご面談をさせていただければと思います。

いつでもお気軽にご連絡ください。

当記事は、記事執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。
この記事の監修者

新宿の司法書士 中下総合法務事務所
代表司法書士 中下 祐介

司法書士/簡易裁判所代理権/民事信託士
宅地建物取引士/家族信託普及協会 会員
ファイナンシャルプランナー

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