相続したら相続税はかかるの?かからないの?相続税判断の4ステップ
「自分が死んだときに、残された家族が相続税で困らないだろうか・・・」
「父が亡くなってしまったら、相続税はいくらかかるのだろうか・・・」
この様なお悩みをお持ちの方は、実はたくさんいらっしゃいます。
「どうやら税理士に相談すれば良いらしいけど・・知り合いもいないし、料金も高そうだし・・・」と二の足を踏んでいる皆様、できるところまで自分で計算してみましょう。
相続税の計算は確かに複雑ですが、細かな話を抜きにして「相続税がかかるの?かからないの?」くらいの計算であれば、誰でもできます。
早速、次の必要書類を用意して、4つのステップで計算してみましょう。
☆必要書類
・固定資産税の課税明細書(毎年5月~6月頃に送られてくるもの)
・預貯金、株式、国債等の資料
・ローン・借入金の返済計画書
ステップ①
一般的に、財産の中で一番大きな比重を占めるのは不動産です。
そして、計算が一番難しいのも不動産です。
不動産の価値を計算する場合、正確には国税庁が発表している「路線価」という1㎡単価を基に計算します。
※路線価は国税庁のホームページでご確認いただけますので、ご興味のある方はこちらへどうぞ
路線価で計算するのは難しいので、ここでは「固定資産税評価額」を用いて計算しましょう。
お手元に用意した課税明細書は、土地・建物ごとの明細になっているはずです。
その中で、各土地・建物の「評価額」の項目を探して見て下さい。
市区町村によっては「価格」「価額」等と書いてあるかもしれません。
※「課税標準額」は無視して下さい。
評価額が見つかりましたら、次の計算をしてみてください。
土地 ➡ 評価額×1.2
建物 ➡ 評価額×1.0(評価額のまま)
この結果が、皆様の不動産の「相続税評価額」となります。
ステップ②
その他の財産(遺産)を計算する
その他の財産は簡単です。
預貯金 ➡ 残高通り
国債・社債 ➡ 額面通り
上場株式 ➡ その日の取引価格×株数
★生命保険は、被相続人が保険料を負担していたものが相続財産となります。
被保険者が被相続人 ➡ 保険金(ただし500万円×法定相続人数の非課税枠あり)
被保険者が被相続人以外 ➡ 解約払戻金
上記の計算ででた金額をすべて合計したものが、不動産以外の財産の評価額となります。
ステップ③
ローンや葬式費用計算する 借金やローンがある場合、相続財産から差し引くことが出来ます。
差し引くことができるのは借入金(事業用の借入金や住宅ローン、自動車ローン等)、ツケ、未払金などです。
返済計画表などで残高を確認しましょう。
※なお、住宅ローン等で団信に加入している場合は借金「ゼロ」で計算して下さい。
ステップ④
基礎控除を計算する 相続税には、財産が一定額になるまでかからないハードルのようなものがあります。
このハードルのことを「基礎控除(きそこうじょ)」と呼びます。そして、基礎控除の計算方法は、次のとおりです。
3,000万円+600万円×法定相続人数
法定相続人とは、誰かが亡くなったときに自動的に相続人となる方のことです。
一般的な相続の場合、「配偶者(奥様や旦那様のこと)と子ども」が相続人になります。
例えば、夫婦と子ども2人の家庭の場合、お父さんが亡くなった際の相続人は妻と子ども2人の計3人です。
この時の基礎控除は 3,000万円+600万円×3人=4,800万円 となります。
ここまで計算できたら、最後に次の算式に当てはめてみましょう。
①+②-③-④=「●●●●」円
いかがでしたか?
結果が、正の値(プラス)で残った場合あなたは相続税がかかります。
負の値(マイナス)になった時は、相続税はかからないと考えてよいでしょう。
相続税がかかるという結果になった場合でも、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」または「生前からの対策」によって相続税を減らすことができる可能性があります。
正確な算出については、ご家庭の事情や財産によって異なりますので、税理士へ個別のご相談をされることをお勧めします。
当窓口でも、パートナー税理士による「相続税」のご相談をお受けしておりますので、
お気軽にお問い合わせください。
なお、贈与税・相続税など税理士の業務に関する具体的な相談については、業法上、税理士が対応、判断をする必要がございます。
当窓口にご相談いただく場合は、パートナーの税理士が同席できる場合のみ対応可能です。予めご了承ください。
私たちのサービスが誰かのためになりますように。
※当コラムの計算式は、簡便さを重視した概算計算です。正確な金額を知りたい場合には、税務署や税理士にご相談下さい。
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