お問い合わせはこちらから

筆界特定って何?筆界特定制度を解説

相続のご相談を色々とお受けしていると、ご相談者様から筆界特定制度ってなんでしょうか?」といった質問をいただくことがあります。

正直なところ、筆界特定の制度はあまり広く知られてはいません。

しかし、とても重要な制度であり、場合によっては筆界特定の制度を利用しなければ進めることができないケースもあります。

今回は、「筆界特定制度」に関してポイントを絞り、各項目について、Q&A形式でご説明いたします。

Q 筆界特定って何?どういう手続きでどのような費用が掛かるの?

A 筆界特定手続きは、土地の境界線について紛争がおき、隣地の土地所有者の行方が分からず境界線を定めることができない場合に、法務局へ申請をすることで、法務局の権限で筆界線(境界線)を特定できる手続きです。

つまり、法務局が境界線を決めてくれる制度です。

手続きについては、各法務局へ申請する際に申請手数料が掛かり、収入印紙で納付します。

手数料は、申請する土地の固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産評価額)により決まり、固定資産評価額の2分の1に相当する額に100分の5を乗じた額を基礎とし、その額に応じて手数料が変わります。

少しわかりづらいと思いますので、以下のモデルケースをご参照ください。

自己の所有する土地の固定資産評価額が2000万円のケース

2000万円÷2×0.05=50万円

→ 50万円という価格を使って、以下の表に基づいて手数料を算出します。

→ このケースの場合、表の一番上に該当しますので、

50万円÷10万円×800円=4000円 となります。

この金額は、申請段階での仮納付額となります。

申請後、境界線の隣地(相手方)の土地の価格を法務局が調べて、追加の手数料を請求されますので、その額を納付すれば手数料を全て納めたことになります。

また、筆界特定手続きは、上記の費用のほかに測量費用が掛かります。

法務局が選任した測量実施者が測量をして筆界線(境界線)を特定していきます。

その費用は最低でも50万円~80万円位が掛かると思われます。

筆界特定手続きは資格者代理人(弁護士・土地家屋調査士・司法書士)に申請をお願いすることもできます。

その場合は、代理人へ支払う報酬も発生しますが、法務局の選任する測量実施者への支払いが無くなりますので、一度お見積りなどを取り、費用対効果を踏まえて選択することをおススメします。

Q 土地の共有者のうちの一人が、単独で筆界特定の手続きを申請することはできますか?

A 筆界特定の制度は、共有者の一人から単独で申請することができます。

この場合、申請人以外の共有者には、実地調査または測量を行う際に立会うことができる等の一定の手続保障が与えられます。

Q 相手方が一切協力してくれないのですが、筆界特定できますか?

A 筆界手続の調査実施に当たっては、法律により申請人等に立会う機会を与えなければならないものとされています。

これは申請人への手続保障のためであり、正確な測量を行う前提として、特定すべき筆界を構成する可能性のある点の位置(主張の位置)を確認します。

しかし、仮に相手方が立会わなかった場合も、測量または実地調査を行うことができなくなるものではありません。

結論としては、相手方が協力をしてくれなくても、筆界特定はできます。

Q 筆界特定の完了までにはどれくらいの期間がかかりますか。


A あくまで一般的なケースという前提ですが、通常9か月~1年半くらいかかります。(これより早く完了することもあります。)

また、関係者の人数や事案の複雑性などより、予想以上に時間がかかることもあります。

Q 筆界特定がされると、登記簿には何か記載がされますか?

A 筆界特定が完了した場合、対象土地の登記簿の表題部と言われる場所に、筆界特定の記録がされます。

また、A土地からB土地を分筆する場合において、A土地の登記簿に筆界特定がされた旨の記録があるときは、B土地の登記簿にも転写されます。

Q 相手方が筆界特定の結果に不服があると主張してきた場合、取り消される可能性はありますか?

A 筆界特定は、新たに筆界を「確定」するものではなく、実際は、「ここが境界線だろう」という法務局の判断でしかありません。

つまり、絶対的に筆界を確定するものではないのです。

ですから、たとえ筆界特定された場合でも、相手方がその結果に不満があるときは、いつでも裁判所に筆界確定訴訟(境界確定訴訟)を提起することができてしまいます。

そして、場合によっては筆界確定訴訟(境界確定訴訟)の判決により筆界特定の内容が覆されてしまうこともあります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

筆界特定は、その制度を利用することで、筆界(境界)線が定まるため分筆登記などが可能になりますので、非常に便利な制度です。

ただ、その効果はもちろん、費用や期間を踏まえて利用をしないと、予想以上に負担が生じる場合もあります。

現在は、不動産取引においても筆界特定の制度を活用するケースが増えてきているようです。

筆界特定の制度は、一般的になじみのない制度ですから、利用すべきか、またどれくらいのコストと期間をかけて行うべきか、非常に判断に悩むと思います。

当窓口には、筆界特定の業務に特化した土地家屋調査士が在籍しておりますので、境界のことでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

なお、表示登記など土地家屋調査士の業務に関する具体的な相談については、業法上、土地家屋調査士が対応、判断をする必要がございます。

当窓口にご相談いただく場合は、パートナーの土地家屋調査士が同席できる場合のみ対応可能です。予めご了承ください。

私たちのサービスが役に立ちますように。

当記事は、記事執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。

関連記事合わせてお読みください