お問い合わせはこちらから

相続不動産が共有不動産の場合の解決方法

共有している不動産の解消方法はあるの? 

【不動産の相続に関連する記事はこちら】
土地の測量・境界確定とは?相続を争族にしない知っておくべき3つのポイント
相続した不動産を売却する4つのポイント
相続登記にかかる費用は?
相続した不動産を分筆するには?

共有物分割訴訟について

「せっかく不動産を相続したけれど、一緒に共有をしている一人が不動産を独占的に使っていて自分が使えない・・・何とかならないだろうか。」

「相続(または遺留分減殺請求)によって、兄弟で1つの不動産を共有することになったが、自分は使わないので、相続した不動産の共有部分(これを共有持分といいます)を誰かに買い取ってほしい。」

「相続した不動産が共有者のいる、共有不動産だった。自分の所有している持分を売ろうにも、共有持分ということで買い手がつかない。どうしたらよいのだろうか・・。」

上記の様に、相続に起因して不動産を共有することになり、どうしたら良いのか悩んでいる方は、多数いらっしゃいます。

共有している方と話し合って、その方が「じゃあ一緒に誰かに売りましょう!」と言ってくれれば、売却代金から諸経費を差し引いて、残ったお金を共有持分の割合に応じて分けることができ、共有問題は解決します。

また、相手が「私が使うので、あなたの共有持分を買い取りますよ!」と言ってくれれば、共有持分をその方に売却することで共有問題は解決します。

しかし、共有者の方が協力をしてくれない場合や、買取りに応じてくれない場合には、どうすればよいのでしょうか。

こんなときに用いる方法が、共有物分割訴訟です。

まずは、民法の規定を見てみましょう。

民法の規定

(裁判による共有物の分割)
第285条
共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

民法の規定を簡単にまとめると、

① 不動産の共有関係を解消するための協議が整わない場合、裁判所に共有物の分割を求めることができる、

② 現物分割できないとき、現物分割によって価格が著しく減少するおそれがあるときは、裁判所によって競売される。

ということになります。

現物分割は共有物そのものを現実的に分ける方法ですが、建物や自動車など、実際には2つ以上に切り分けることができない物については、現物分割という方法を用いることができません。

また、競売で不動産を売却する場合、落札代金は市場価格よりも相当程度低くなることが多いため、共有者全員にとって、できれば避けたいというところが本音と言えます。

では、現物分割と競売しか、共有関係を解消する方法はないのでしょうか?

共有物分割訴訟は、裁判所を通じて「共有関係の解消」を求めるものです。

裁判や訴訟と言うと、一般的には、「勝訴・敗訴」など、対立する当事者のどちらの主張が正しいかを判断するための手続なのですが、共有物分割訴訟は、勝ち負けを決めるというよりも「どのような方法で共有関係を解消するのが適切で合理的かという視点から、裁判所の判断を求める」という類型の訴訟なので、上に書いた(現物分割・競売)以外の方法で共有関係の解消を行うことができる、という特徴があります。

それは、(全面的)価格賠償という方法です。

価格賠償

最高裁判所の判断によって、いわゆる全面的価格賠償の方法を用いることができるとされています。

ですから、裁判所が「共有者それぞれの資力等の事情を総合的に考慮した上で、誰か一人に不動産全部を取得させ、他の共有者には、その共有持分に応じた金銭を払って終わりにさせる」ということができるようになりました。

また、代金分割という方法もあります。

代金分割

代金分割は、共有関係となっている不動産を任意売却(通常の不動産売却)し、その売却代金を共有持分に応じて分けるという方法です。

任意売却は、民法上に定められた競売という手続よりも不動産の売却金額が高くなる傾向にあるため、訴訟中の和解でも良く用いられる方法です。

1つ目の全面的価格賠償は、不動産を取得することになる共有者の一人が、他の共有者に共有持分相当の金銭を支払わなければなりません。

ですから、共有者全員が他の共有者に対して金銭を支払う資力が無い場合には、裁判所が代金分割による和解を勧める、ということも多くなっています。

このように、共有物分割訴訟では、上記のいずれかの方法によって、最終的には共有関係が解消されることになります。

もちろん、訴訟においては、共有関係にある不動産の価格をどのように算定するのか、どの不動産会社で売却するのか等、訴訟当事者間で色々と話し合ったり、裁判所の意見を聞いたりしながら進めていくことにはなります。

しかし、この手続を用いることで、冒頭に記載したような悩みは解決できます。

ただ正直なところ、共有不動産の対応は、不動産実務の中でも非常にデリケートで且つ難しいことが多いため、ご不安な方は、専門家のサポートを受けることをおススメします。

当窓口でも、「共有不動産」に関するご相談を多数いただいております。

ご相談いただくケースによって、共有している不動産をどうしたいのか(自分が使いたいのか、それとも共有持分を売りたいのか)などのご希望が異なりますので、一律の対応ではなく、ご事情に合わせた準備や対応をしております。

初めての方には、無料相談のサービスをご用意しておりますので、お悩みやご不明なことがございましたら、ご相談にいらしてください。

また、任意での交渉がまとまらない場合は、共有物分割訴訟に特化したパートナー弁護士による「共有物分割訴訟のサポート」もご用意しております。

共有不動産のご相談の入り口から出口まで、誠実にお付き合いをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。私たちのサービスが、お役に立ちますように。

当記事は、記事執筆時点で公となっている情報に基づいて作成しています。

関連記事合わせてお読みください